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疲れにくい椅子

投稿者:(S)

「家具のデザインは椅子に始まって椅子に終る」と言われている。それほど椅子のデザインは奥深いということだろう。私も何度か挑戦しているが、自信作にはまだまだ至らない。今回試作したものは“楽チン椅子”で、デザインに釣られて買ったけど長くは座っていられない、というユーザーの不満をを少しでも減らそうと考えたもの。

部屋で靴を履かない日本人の暮らしを踏まえ、かかとがしっかり床に着くように座面を35センチに抑えた(1)のと、座ったときに肘が置け、かつ、立ち居を楽にするためにアームを備えた(2)のは、以前ご紹介した回転椅子と同じ。変ったのは、体をしっかり支えるために腰部に巾のある背板を回し、更に表面にクッションを張った(3)ことである。(試作のシートはテクノカーフという人工皮革)これは、いくつか椅子を設計し実際に使ってみてるうちに、この位置をサポートすれば最も疲れにくいという経験に基づいている。

「武蔵野身体研究所」を主宰しておられる矢田部英正氏の『椅子と日本人のからだ』という本によると、人の体を支えている脊髄は首から腰へと太くなり、かつ、最も下にあるものは骨盤に覆われているから、その部分(臍下3寸の丹田と言われる部分の反対側)をサポートすれば体が安定する、とある。安定するということは楽なことでもあり、床と垂直に背を立てたダイナミックなデザインのハイバックのものや、首に近い位置で細い背板を配した洒落たデザインのものはあまり座り心地がよくないということだろう。今回試作した椅子はその説に適ったものと言えそうだ。

(1)(2)(3)は高齢者のみならず成人であれば“楽チン”と感じる条件だと考え、更に(1)では座面を1000Rの曲面にしてお尻に柔らかく、(2)ではアームを短くして椅子を少し引くだけで立ち居がし易いように変えた。これまで20名近くの老若男女、体形も違う来客に座ってもらって感想を聞いたが、概ね「疲れない」という評価をいただいた。5時間も座ってずっとおしゃべりした女性グループもあったから、多分意図したものになったと思う。といっても、万人に満足してもらえる椅子を作るのは不可能だ。究極の椅子というのは、その人に合った寸法でひとつひとつ作るよりほかない。最大公約数の人にフィットする椅子にして、市場に問うのが私の仕事である。(S)


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