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博多雑煮

投稿者:(M)

10年以上も福岡で暮らしているのに、いまだに福岡人になりきれず、よそ者の醒めた目で見ていることをお許しいただきたい。来たばかりの頃にはいろいろなことが目新しくて、お雑煮づくりの教室に行ってみた。なぜならお雑煮は最も地方らしさの表れる料理だから。案の定、京都育ち東京暮らしの私には想像もつかないものだった。アゴダシ?カツオナ?チンプンカンプン。

そもそもそういう食材があることすら知らなかった。アゴはトビウオのことで、それをあぶり焼きにしたものを藁で目刺にして売っている、それを前日から干シイタケやコンブと一緒に水に浸して取った出汁がアゴダシ。上品だがコクのある澄まし汁になる。

カツオナは1枚の葉が40~50cmもある巨大な青菜である。なぜか鰹の風味があるからそう呼ぶという。福岡は北は玄界灘、東は豊後水道、西に有明海と魚種豊富な海に囲まれているが、太平洋には面していないので鰹が獲れない(らしい=間違っていたらごめんなさい)。それで昔はせめて「かつお風味」ということでこの菜が重宝されたそうだ(この辺の説明は10年以上前に料理教室の先生から聞いた話)。加えて「勝つ」のは縁起が良いのでお雑煮に使われるという。

そしてお雑煮の主役はブリ。これも出世魚で縁起が良いということ。東京ではお正月にはマグロが鮮魚売り場で幅をきかせるが、福岡ではちょうどその役がブリに回されている。お雑煮だけでなく刺身もブリだ。マグロはサクで並ぶがブリは尾頭つきなので、鮮魚売り場は壮観ではある。

「勝つ」ためには負ける人がいなくてはならないし、「出世」するには誰かを蹴落とさねばならない。勝負だの出世だのと縁のない生活をしているので、お正月だけ気負うのも気が引け、結局慣れた白味噌の京風雑煮や東京風雑煮で済ませてしまうことが多い。そういえば先日の新聞に「かつお菜の栽培農家が激減している」と書かれていた。お雑煮以外に用途が広くないから正月にだけ需要が集中するので、農家は栽培を嫌うという。近くの畑でも自家用に一畝だけ作られていたりする。

「かつお風味」は袋入りのダシで済ませられるし、闘争心剥き出しは嫌われる。これも消え行く伝統(伝承?)の仲間入りをする運命なのだろうか。そうなると、久しぶりに博多雑煮を作ってみようか、と思えて来ます。(M)

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