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重箱2題

投稿者:(S)

この秋、素材の異なる重箱を2点発表した。漆のものは秋田県川連(かわつら)の“漆工房摂津”さん、磁器は佐賀県有田の“(有)李壮窯業所”さんとの共同開発だ。
漆重箱2

川連は東北を代表する漆器産地の一つで、20年余り前に組合の開発事業に関わったことがあり、加飾に凝らずシンプルで使い易く、また得意とする「花塗り」という技法は堅牢で長持ちするのでとても重宝。わが家にはこの地の漆器がひと棚を占めている。その川連で70年の歴史を持つ摂津家の現当主は私と同じ歳、ただ、このたびの開発は長男広紀さんとの共作である。

開発した重箱の目玉は仕切り板2枚を添えた深さの違う長方形の箱と蓋のほかに、銘々皿2枚を組み込んだこと。(写真の蓋の下が銘々皿)更にその皿を2枚一組で追加購入できるシステムにして、多人数にも応じられるよう工夫した。某通販で売り始めた結果、半分以上の人が銘々皿を追加注文、中には8枚も求められた方もあった。意図を評価いただいた結果だろう、とちょっぴり嬉しい。

入れ子重1
一方、日本を代表する陶磁器産地佐賀県有田の数多の窯元のなかで、100年を越す伝統を持ちながら最新技術を次々に導入する李壮窯業所と開発したのが「銀彩入れ子三段重」である。この窯元も先代はご健在であるが今回共作したのは長男の寺内信二さん。奇しくも大学の後輩である。寺内さんは試作に3Dプリンターでモックアップを試みたり、佐賀県窯業技術センターが開発したデジタルによる成形方法をいち早く取り入れるなど進歩的な窯元だ。(そのおかげで精度の高い入れ子が可能になった)また、技術のみならず販売にも新たなルート開拓に積極的で、海外の有名料理人と組んで有田の仲間とともに新たな需要を掘り起こそうとしている。本人は否定するだろうが、これからの有田を担う一人、と私は見る。

入れ子の器というのは昔からあった。ただ、収納の便利さを求めるだけでなく、小さい箱から順次積み上げると逆三角の意外な形の器になり、料理を盛って食卓に出せば「おぉ~」と驚かれるよう考えたのがこの3段重。磁器だから料理を入れて冷蔵庫で保管もできる。これも売り出したばかりだが、出足は好調だ。(漆、磁器共に詳細はhttp://new-wa.comに)

今、「重箱」に興味を持つ人は減っただろうし、若者の中にはその言葉さえ知らない人もいるだろう。このたびの開発は小さな市場への挑戦である。でも、ユーザーに潜在するニーズをしっかり掘り起し、ふさわしいデザインの商品を作れば売れるという信念を作り手と共有して、今後も開発を続けたい。(S)

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