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女性による商品開発

投稿者:(S)

前回紹介した福岡県うきは市にある家具メーカー、㈱杉工場は、今、一年の中で最も多忙な時だ。春の新入学期を控え、学習デスクの製造に連日フル稼働が続く。でも一方で、景気の減退から量販店の低価格商品に流れるとか、デスクを買わずにリビングのテーブルで親子が向かい合って勉強する人たちが現れるなどで、ここへ来て生産量を調整気味なのだそう。新入学必須アイテムという底堅かった需要も、景気と消費者のライフスタイルの変化によって様変わりしつつあるのかもしれない。

私はこの会社でアドバイザーを務めていて、2年ほど前から女性のみによる商品開発プロジェクトを始めた。スタッフ5人のうち開発要員が一人いる(未だ入社して1年にも満たない)他は事務職のスタッフだから、商品開発は全くの素人。それでも敢えて女性に、そして素人にこだわったのは、市場で購買するのはたいてい家具にはさほど詳しくない女性たちだから。「本当に欲しいものか、本当に買える価格であるか」というユーザーの厳しい価値基準をクリアしながら商品を開発する、そのことが“売れる商品”をつくる早道だと実験的にスタートさせた。私は黒衣に徹し、徹底的に女性主導のプロジェクトである。

ユーザーが価値ある商品だと判断を下すには①機能や素材が優れていること、②感覚的にフィットすること、③前2つに適った価格であること、の3つが揃っていなければならない。ところがメーカーはそれらが売場で目立っていることに重点を置くため、ユーザーの求めている価値とかなり乖離した商品が多い。つまり、今まで多くのメーカーでは、主に男性のスタッフが作り手の発想や都合だけで商品開発をしてきて、それが今日の不況と重なって極度の販売不振に陥ったのではないか。私は九州へ来て500社以上のメーカーの現場を歩いてそれを強く感じていたからこのプロジェクトを組んでみたのだ。

左の写真はこのプロジェクトで開発した第1弾【木と風】のシリーズ(椅子は別)。素材に使った“楓”の文字を分け、シリーズ名とした。シェルフを3種の寸法で作り、デスクやベッドと組み合わせられるようにし、機能を凝縮したパソコンデスク(これが特に好評)を加えてシリーズ化。シンプルで清潔感あるデザインは、どちらかというと都会派の大人向きであり、従来の学習デスクの発想では生まれ得なかったものである。

で、プロジェクトの成果だが、今のところは概ね成功と言える。過去には取り扱ってもらえなかった売場に商品が浸透し始めたのは、バイヤーの目にもその価値を読んでもらえたのだろうし、通販業界でも商品をアレンジしてOEMに近い形で載せる段階にまでなってきた。スタッフのものづくりに関する意識が確実に上ったのは予想以上の成果であり、さらに、このプロジェクトに倣って売場を全部女性に任せる小売店が出てきたのはコンセプトだけでもアピールする効果があったということだろう。

このような商品開発の方法は、生活用品を作るメーカーなら同様なプロジェクトを立ち上げることができるだろうから、参考にしてもらいたい。ただ、どこでも効果が生めるかというと、それは別問題だ。なぜなら、この会社のスタッフが全員とても熱心であり、それを会社のトップが強力に支援したからできた事業である。気概のない女性社員を集めて、後はお任せ、では全く無駄なのは言うまでもない。(S)

 

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